もっています。このように企業の財務会計は,元来,法律の規制の有無にかかわらず,企業経営に不可欠なシステムとして,自然発生的に実施されるものです。
しかし経済社会において企業の影響力が増大するにつれ,企業には法律によって各種の規制が加えられるようになってきました。企業が行う会計も,その例外ではありません。とくに財務会計は,企業外部に存在する多種多様で無数の利害関係者に重大な影響を及ぼす可能性が高いため,どうしても法律の規制を受けることが多くなります。
現在,企業の会計実務に規制を加えている法律として,わが国では商法,証券取引法,および法人税法の3つがあります。これらの法律制度の‥環として,法規制に準拠して行われる会計を,とくに制度会計とよびます。制度会計はさらに,その根拠となる法律のちがいにより,次に示すように①商法による会計,②証券取引法による会計,および③法人税法や所得税法による税務会計の3つに分類されます。これら3つの会計は相互に密接な関係をもって結びついていることから,わが国の制度会計の体系はトライアングル体制とよばれることがあります。
商法による会計
財務会計 制度会計プ]正券取引法による会計
丁 税法による税務会十
法規制を受けない財務会計領域
他方,
制度会計以外の財務会計は,法規制を受けずに企業が自発的に実施する会計領域です。たとえば自然環境保rnや地域社会-Mmなどの程度を計測した社会責任会計の領域がそれです。これらの会計領域は,企業が経営管理の必要から実施することもあれば,法律の枠組みを超えた積極的な情報提供を通じて,利害関係者との良好な関係を樹立しようとして行われることもあります。このうちとくに企業資本の提供者である投資者を対象として企業が行う財務広報活動は,インベスター・リレーションズにR)とよばれています。
Create 2012/11/05
|