●団体特別受験制度 (TOEIC-IP)
団体特別受験制度(IP: Institutional
Program、以下TOEIC-IP)とは、実施される団体の都合に合わせて随時、TOEICを実施できる制度のことである。なお「公開テスト団体受験一括申込」とは異なる。
TOEIC-IPには、TOEIC公開テストと比較して、次の相違点があるため注意が必要である。受験者の写真と署名が印刷された「Official
Score Certificate」(公式認定証)は発行されない。
過去に実施されたTOEIC公開テストと全く同一の問題が出される、いわゆる「過去問試験」である。受験の際、顔写真入り身分証明書等の確認による厳密な本人確認が、必ずしも行われているわけではない。実施会場が、それぞれの団体が指定する会場となる。
企業・学校・団体が、履歴書・入学願書にTOEIC「公開テスト」のスコアを記入することを指定する場合、TOEIC-IPのスコアは記入することができない。また、公式認定証の提出が必要である場合、TOEIC-IPでは公式認定証は発行されないため提出することができない。
なお、TOEIC-IPのスコアの統計的有効性については、通常TOEIC公開テストと同等であると考慮される。
●TOEIC Bridge
TOEICの姉妹版として、2001年に初・中級レベルの TOEIC
Bridge(トーイック・ブリッジ)が始まった。聞き取り50問、読解50問(各10〜90点)でトータルスコア20〜180点で評価される。読解問題の文章が短くなっているなど、問題の難易度は従来のTOEICテストよりも下げられている。従来のTOEICは、企業での英語能力測定を主な目的として開発されたため、高校生や英語の初心者が受けるには適していなかった。
TOEIC Bridgeはこのような人を対象として開発された。TOEIC
Bridgeの利用目的は高校生の留学選抜や英語特進クラス選抜やレベルチェック、大学の英語レベルチェック等多岐に渡るが、入社試験や大学院入試などでTOEIC
Bridgeのスコアを聞かれることはほとんどなく、学生向きという点ではTOEFLなどと競合する側面もある。
受験者の比較(2005年度 日本国内での受験者数) TOEIC
1,499,000人(前年度比 +66,000人)
TOEIC Bridge 109,200人(前年度比 +26,000人)
●TOEICスピーキングテスト/ライティングテスト
TOEICスピーキングテスト/ライティングテストは、2007年1月21日に東京・大阪・名古屋等の主要都市で初めて実施された。実施に至った背景としては、従来のマークシートテストでは会話能力や作文能力が測れないという難点があり、ETSが研究を重ねた結果、従来のTOEICおよびTOEIC
Bridgeとは別に実施することになった。特にプレゼンテーション、音読、電子メールや論文の作成問題等、マークシートでは測れなかった部分を補完している。スコアについては、運営委員会により、スピーキングテスト/ライティングテストで130〜140である場合にTOEICで700〜750相当とされている。
ペーパーテストのTOEICと異なるのは受験票がない事で試験会場にパスポート等の本人確認書類を持参する。証明写真を提出しない代わりに試験会場で写真の撮影があり、TOEICテストと違って現地で撮影した写真が公式認定書に掲載される
このテストはETSのInternet-Based Testing (iBT)
というシステムを介して実施される。ETS認定テスト会場のパソコンをインターネットに接続することでテスト問題および解答の送受信を行う。受験者はパソコンで音声を吹き込んだり、文章の入力を行う。iBTによって更に効率化、標準化された公正な方式で受験者の解答を評価し、受験後のフィードバックを行うことが可能となった。問題レベルはTOEFL
iBTに準じている。問題形式としては、スピーキングはTOEFL
iBTと同等であり、ライティングでは300字の論述問題が同等である一方、写真を短文で描写する問題があり、また英文メールの作成等、実際のビジネスでの場面を考慮に入れた構成となっている。
試験時間はスピーキングが20分、ライティングが60分で、説明や指示などを含めると90分程度を要する。スコアは0点〜200点で表示される。指示はすべて英語で行われる。
●LPI
LPI (Language Proficiency Interview)
は、TOEICと関連して行われていた、独立した口述試験である。2010年3月末を以て終了し(実際の最終試験日は2010年2月7日)、上記のTOEICスピーキングテスト/ライティングテストに一本化することが、公式ウェブサイトにて2009年10月16日に発表された。
この試験では、20〜25分程度の面接で、発音、文法、語彙、理解力などが評価される。以前はTOEICで730点(Bクラス)以上を得た受験者のみが対象だったが、2005年4月1日よりこの制限はなくなった。但し、公式サイトでは730点以上取得者の受験が推奨されている。
評価はFSIスケールと呼ばれる各言語共通の基準により、0、0+、1、1+、…4、4+、5の11段階で行われる。客観性を期すため、複数の採点者によって評価される方式を採っている。評価基準は非常に高く設定されており、英語を母語としない人がレベル3以上を得ることは稀だと言われている。
●その他
「問題用紙・その他資材への書き込み」は禁止されている。更に違反行為をした場合は「TOEICの今後の受験を断られる」・「過去のスコアの無効」・「ETSが実施している他の試験TOEIC・TOEFL等」の受験資格を失うと申込時や受験時のしおりや試験前の試験監督の諸注意で強調される。
TOEFLで採用されているIRT(項目応答理論)は、TOEICに採用されているかどうかは明らかにされていない。TOEIC運営委員会は「共通のアンカー(問題)を複数テストの問題の一部として組み込む方法をEquating(スコアの同一化)のために使っている」としている。
とある教育学者は、「英語でのビジネスができるかどうかは、英語力だけによるものではない。その人物の実務経験や人間力、コミュニケーション力などのトータルの力があってこそ。『TOEICのスコア=仕事能力』ではないのに、ない交ぜに語られており、そこに最大の問題がある」と述べている。
Create 2012/11/05
|